ある朝の風景











休日である土曜日

午前9時

…外は晴天







真里は、秋生の部屋の戸を勢いよく開けた。

「アッちゃ〜ん!!オハヨ〜!!」

そう言って、ボフン、と秋生の上に跨る。

「ウッ」

いきなり、圧し掛かられた秋生は強引に眠りから覚まされる。

「…んー、マー坊…?」

半開きの目で、自分に跨っている人物を見る。

…こんな事する奴は世界に1人しかいない。

「オハヨッ!遊び行こー!!」

真里は朝からハイテンションだ。

秋生の顔の両側に肘をついて、ニッコリと笑いかける。

間近にあるマサトスマイルを見て、やっぱり可愛い…等とぼんやり思うが、

眠い体は真里のテンションについて行けない。



「…もーちょっと寝かせろよ…昨日寝たん遅い…」

秋生は、間近で自分を覗き込む真里の頭を、宥めるように撫でる。

「……」

真里は、秋生が無意識に繰り出すこのような仕草が結構好きだ。

よしよし、と撫でられのをされるがままにしていたが、秋生がまた目を閉じてしまったので

「も〜…昨日何してたんだよ〜?」

また耳元で聞いてやる。

「んー、…ミツの単車見てた…3時くらいまで…」

…そういえば、下でミツが転がってたっけ。

真里は秋生の部屋に来るまでの工程を思い返す。

…後でミツの奴、蹴っといてやろう。

「…だから、眠みー…」

そう言って真里の頭を引き寄せる。

秋生の肩口に顔を埋めるような体勢で、

―――オメエも、もうちょい寝ろよ…

秋生に囁かれるとちょうど耳に息がかかる。

「ん、ナニ?…も〜、くすぐったいって!」

耳元で秋生がゴニョゴニョ言うのがくすぐったくてしょうがない。









―――……は〜〜〜

真里に踏まれて(真里は気付いてない)目覚めたミツオ。

とりあえず秋生の部屋に来てみると、朝からラブい光景を目撃してしまう…。

―――も〜…ヤメロよ〜

等と言いながら、じゃれあっている秋生と真里。

そもそも、どういうリアクションが正しいのかよく分からないミツオであった。

声をかけて良いものか…。

このまま見ていて良いものか…。

しかしながら、それは見る者を赤面させる光景である事は間違いない。

「あっ!ミツー!!」

ミツオに気付いた真里が、秋生の上から叫ぶ。

「ミツー…?」

秋生は心底眠そうに、億劫そうにミツオの方に首を回す。

2人とも、落ち着き払った至って普通の対応である。

見られて恥かしいとか、ヤバイ、という態度だったら、ミツオとしてもどうしてよいのか分からないが
…。

―――まあ、この2人って…

アヤシイっちゃーアヤシイんだけど、まあ、普通に仲良すぎというか…。

普通にイチャイチャしてっからな〜…普段から…。

何だかリアクションに困っていた自分がアホらしいミツオだった。

いつの間にやら秋生から降りた真里がミツオの元にやってくる。

「ミツ〜、オマエ、昨日アッちゃんにば〜ッかやらせたんだろ〜?!」

先ほど秋生に見せていた甘い視線とは対照的な冷たい視線をくれながら、ミツオを覗き込む真里。

―――うわ〜〜、アッちゃん時と全然態度違げー!!

秋生との態度の違いに微妙に悲しい物を感じるミツオだった。

本当にマー坊くんて、好き嫌いとか分かり易いよな…。

「え〜と…ごめん…」

冷や汗をかきながら愛想笑い。

「ミツー、オレの代わりに遊んでやれよ…」

秋生はそう言うと、もぞもぞと布団を整えて2人に背を向ける。

「えーーーッ?!」

真里はさも不満であるというのを隠そうともしない。

秋生の方を不満顔で見ている。

―――そりゃー、マー坊君はアッちゃんと遊びたかったんだろうけど…

そこまでガッカリされるオレって…

また、なんだか悲しくなってしまうミツオなのであった。

「しょーがねえなー!ミツで我慢するか〜」

不満をあらわにしていた真里だが、仕方ない、とミツオの腕を掴んで真里は出発しようとする。

「…マー坊くん、どこに!?」

「フフ、いいから!!」

真里のペースで押し切られ、ミツオの前途多難な1日が始まった。
























☆あれれ、何かアッちゃんがカッコいいね?!
 それに凄く余裕だ(笑)マー坊に跨られてるというのに…。
 「日常」のアッちゃんに有るまじき行為だ…(笑)
 そのうち「ラブ」に引っ越すかもしれません。
 そして何故かミツオ…。
 私的にはトラノスケのトコに遊びに行くんでは無いかと思います。

補足:爆音の皆が真嶋家にお泊りするコトは溜まり場として、よくある事です。
    マー坊もしかり。
    爆音の皆はそこら辺で雑魚寝ですが、マー坊はちゃっかりアッちゃんの布団を陣取って寝ます。
    幼馴染なので、そこら辺はもう慣れたものです。
    アッちゃんの布団はマー坊の布団でもある訳です。
    2人は仲良く一緒に寝ていたりします。
    アッちゃん的には嬉しいのか辛いのか微妙なトコです(笑)

  
(2003.10.1) 
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