春。4













冷たく光る龍也の眼光が、オレを見下ろす。

オレは龍也に組み敷かれながら、やばい、と思う。

もう、後戻りできないのが分かるから。

でも。

それはそれで、いい。

何だか良く分からないけど、龍也と。

こういう事になってもいい。

その気持ちも本当で。

もう、いっそ自分でも持て余し気味のこの気持ちを。

龍也でメチャクチャにして欲しかった。

何も考えられないくらいに。







必死で痛みに耐える、その時間の後。

段々と、それが痛みだけでは無くなってきた頃に。

龍也は荒い息を繰り返すオレを見下ろしながら言う。

「…誠とはやったのかよ?」

「何、言って…」

「どーなんだよ?」

「…んな事、ある訳、ねえだろ」

「ふうん?…じゃあ、アキオか?」

「何…がッ」

「オマエ、慣れてる訳じゃねーけど、初めてでもねえだろ…?」

「…関係ねーだろ…オマエに…」

「…カンケーねえよ?」

そう言って龍也は腰の動きを早める。

「ッ…あッ」

唇の端を持ち上げて笑う龍也を、軽く睨み付ける。

「う、はァッ…ァッ…」

しかし龍也の動きに合わせて切ない声を上げてしまう。

真上から見下ろしてくるその視線から逃れたくて、顔を背け、目を閉じる。

膝の裏に腕を入れ、胸につくくらいに持ち上げられて。

その態勢が苦しい。

より深く、龍也に侵入され、体の内側から揺さぶられる。

「あ…ッ…は、あ…」

ただ、龍也にされるまま、ただ龍也の動きだけを感じている。

自分の体が自分じゃないみたいな。

どこまでが自分なのか。

なんだか酷く曖昧で、不確か。

ちらり、と目を開けて龍也を見上げると、やっぱりあの意地悪な感じの笑みを浮かべている。

…何だよ、オレの事見て…笑ってんじゃ、ねえよ

そのまま見下ろされているのもムカツクので、龍也の後頭部に腕を伸ばす。

そして自分の方に引き寄せる。

すると、その勢いのまま唇を合わせてくる。

舌を割り込ませて、無遠慮にグチャグチャと口内をかき回す。

「んッ…んん…」

相変わらず口を付く喘ぎは、そのまま龍也の口内に吸収される。

眉をしかめて龍也を見ると、近過ぎてその表情が良く分からない。

ただおかしいくらいに視線だけを強く絡める。

そうしてると、何かが変わりそうな。

そんな錯覚がして。



「はぁ、…リューヤ…ァ…」



ようやく開放された唇で、龍也を呼ぶ。

龍也の頭を抱く様にして、髪に指を絡めて。

首筋にかかる龍也の息遣いが、余裕が無いのはお互い様だと告げる。

その龍也の息遣いを聞いていると、もう自分の事も龍也の事もどうでも良くて。

真っ白になって離脱感がすごい。



ただ、この体と体で。

動物みたいに、何も考えずに。

ただ、感じてればいいんじゃないかと思えて。

龍也の事、許せないとか。ムカツクとか。

でもホントはキライでも無いとか。

龍也に対する色んな感情の原因が何なのか。

本当に自分では良く分からないこととか。

良く分からなくて、それにまたイラついたり。

でもたぶん、オレ達は。

誠さんへのどうしようもない思いの強さだけは一緒だとか。





全部、本当にどうでもイイ事みたいで。





なんでこんな事してるのか、とか。

でも、たぶんオレが誘ったとか。

色々ぐるぐる思ったけど、でも全部中途半端に。

どうでも良くなって。

ただ、もう分けが分からない感じで。

泣いた。

涙が出た。

…なんで。







コイツの前で泣くなんて、最悪。






















☆★☆★
誘い受のクセして煮詰まってるマー坊……。
ってゆーかもう、ムズムズします、ムズ痒いですね〜スミマセン。
ああん、もう…(最近、言い訳さえ上手くできなくなってきました…笑)
この話は別に自分的に無くても良かったんですけど、
「…誠とはやったのかよ?」っていう龍也が書きたくて書きました(笑)
そんな龍也、ちょっぴり笑いたい。いや、笑ってしまう。

さて!次は「初夏」体育倉庫エロですよ!元気100倍!!(←バカ)
大丈夫。これだけはもう、始まった当初から出来てます(笑)


(2004.4.30)
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