「痛い…ヒロシ」
時貞がオレの下で眉をしかめる。
「ちっとくれー我慢しろよ」
「ちょっとじゃねんだよ」


「オレをヤりたきゃ、もっと優しくしろ」
優しくって…その甘い響きに体がムズムズした。
「優しくとか気色ワリー」
あからさまに時貞の表情が曇る。
「別に優しくしてくれって言ってねえだろ」
……言ったべ?
「動きを優しく丁寧にしろってんだよ。この下手くそ」
下手くそぉ…?
ムカつくぜぇ……!!
「それは出来ねえな…」
時貞のハッキリした物言いに腹を立てたオレは、胸を張って言ってやった。
「……威張んなよ…」
時貞はさすがに呆れた顔でオレを見上げて、だけど、可笑しそうに笑った。
無邪気な時貞の顔にオレもちょっと笑った。


時貞はオレを引き剥がし、起き上がる。
そしてオレの胸を押してベッドに倒す。
そのままオレの上に跨って静かにオレを見下ろす。
「こーゆうのは、力任せにガンガンしたらいいってもんじゃねえんだぜ、ヒロシ」
優しく、まるで子供に言い聞かせるような口調でオレの耳元で囁く。
そしてオレを覗き込んでくるその表情は、万人に救いを与える菩薩のように優しい。
「そもそもオマエは乱暴モンなんだよ」
人の事言えねえクセ…。
「オレがお手本みせてやろーか…?オレはどっちでもイイんだぜ?」
ニヤリと笑う。
さっきまでの菩薩のような慈愛に満ちた表情とはうって変わって、性悪そうな笑いだった。
「いっ、いらねーよっ!!」
コイツ……!
オレが突っ込まれるバージョンもアリって事なのか!
それは無い!オレは有り得ねえ!!
「オレが、優しく抱いてやってもイイんだぜ……?」
げっ!
やばい。


オレは自分の身の危険を感じて、萎えそうになる体と心に気合を入れる。
「待て。わーったからよ、はやまるなって!」
オレの上に跨る時貞を見上げて一つ提案をする。
「よし、じゃあテメーが動けよ。オレは我慢すっから!」
「……我慢…?」
フフン、とちょっとバカにするように問い返す時貞。
オマエに我慢なんて言葉があるとはな。
そんな感じの時貞。
……オレの我慢をバカにしてるな、コイツ。

「いいぜ?」
そう言うと時貞は、ゆっくりとオレ自身の上に身を沈めていく。
あ……と大人しくしているうちに、ゆっくりと時貞の中にオレ自身が飲み込まれる。
「……ハァ…」
オレの腹の上に手をついて、小さく息を吐く時貞。
見上げると、少し眉を顰めた時貞と視線が絡まる。
「ヒロシ…」
薄く開いた唇から、熱い吐息と共にオレの名前が呼ばれる。


頭の芯がカッと熱くなる。


時貞の中が熱い。
熱くオレ自身に絡みつく。
「くっ…」
きつく締めつけられる感覚に思わず声を漏らす。
ああ、やっぱ我慢きかねーオレ!
結局、オレは時貞の動きに追随するように腰を浮かせる。
そしてさらに押し付ける。
「あっう…」
時貞が、突然のオレの動きに喘ぎを漏らす。
動きが…止めらんねーべ…?
いや、普通だろ、それ?
我慢の有る無しの問題じゃねえべ?
自然現象だろ、しょうがねえだろ。これは!
「…オマエ…」
やっぱり口だけだったな…と責めるような視線をくれる時貞だが、
ふふ、と笑ってオレの唇に自分のを重ねてきた。
乱暴にすんなって言うけどよ……。
そんな器用じゃねえから加減なんて出来ねえし。
オマエだってまんざらでもねーんじゃねェ?
そもそも優しくだぁ…?オマエ、そんなヤワなタイプじゃねえだろ!
とか思いながら、時貞に口の中をかき混ぜられながら思っていると。
もうどうでもよくなってきて、オレは夢中で動いていた。
オレの動きに合わせて、オレの口元で時貞が喘ぎを漏らす。
熱い吐息がかかる。
その感覚もまたヨクて、オレは結局「我慢」なんて言葉どっかに飛んだ。















+++++++++++++++++++++++
私がヒロシだったら途中で逃げ出すよ…(笑)
なんかヒロシ情けない……。(でも私、情けない攻め好きさー!笑)
ちなみに天羽くんは受けてヨシ、攻めてヨシな感じで。
(気まぐれにデモンズバーの門番とかに抱かれてやってるかもしれない…とか思う)
ヒロ天妄想すると、とっても天羽×ヒロシっぽくなるのだけど、いざやるとなるとヒロシ×天羽で。
ちゃんとヒロシは攻めであります。
でも実は天羽君的にはヒロ天なのはヒロシが受けんのをイヤがるからだよ!(それだけ?!)
そこ、天羽君の優しさだから。一応ヒロシの意思を尊重してあげてるの。
天羽「オレって大人だな……」
そして攻め時のヒロシを見ながら…可愛いヤツだな、と思ってる。

(2006/12/06)
戻る