淡い恋心 金髪。 乱高。 真紅のCB400F。 さらに周りにいるのは悪そうな奴等…。 …ちなみに名前は「マサト」。 アイツってもしかして、爆音の鮎川真里?! ソイツを初めて見たのは夏祭りの事。 騙して暗がりに連れ込んで、…まあ、何ていうか…悪い事しようとした。 でも、途中で邪魔が入って、仲間の1人がやられて。 だけど、オレはソイツの事見てるうちに、本気で気になってしょうがなくなってた。 すげー、可愛くてオレのタイプだった。 小さくて、あどけなくて、全部が可愛らしい。 小動物をギューッとしたくなるような感じだ。 ソイツに、これから酷い事しようとしてるのに、何だか可愛そう…という気になっていた。 …もちろん、滅茶苦茶にしてやりたい、という類の気持ちもあったけど。 で、その晩は邪魔が入ったせいで、ソイツの前から逃げ出したけど… ずっと、気になってた。 ぼんやりすると、「アイツ、可愛かったなあ」とか「今ごろ何処で何してんだろ」と思うようになってい た。 これは、もしかして恋ではないだろうか…? 男に、それも悪い事をしそびれた相手に…。 どうしても気になってしょうがない。 アイツをもう一度見たい。合いたい。 …アイツの事、自分の物にしてー。 そう感じていた頃だった。 コンビニで立ち読みをしていたオレは、数台の単車が駐車場に滑り込んでくるのを、その爆音で認め る。 全員ノーヘルで、いい音を響かせている。 「!!」 何の気なしに、その集団に目をやって驚いた。 ゴツくて、悪そうな集団の中に、1人、小さくて可愛いアイツが混じってるではないか! ちっこいからといってパシらされている訳でも無さそうで。 不思議な事に全員、あの可愛いアイツの友達ッポイ。 皆で楽しそうに話している。 …で、よくよく観察してみると… 「……。」 もしかして!…もしかすると…!! (…で、冒頭へ) マサトはその集団に違和感なく混ざりこみ、楽しそうに皆と話している。 その中でも、背の高い、緑と黄色の変な色をしたリーゼントの男の腕を引っ張って店の中に入ってく る。 ―――緑と黄色のリーゼント。 (コイツがあの夜、探してたやつかぁ?) その聞き覚えのある髪型にハッとする。 (良かった…。見つけられなくて…。コイツもまた強そうな奴だな…) と冷や汗をかいていた。 「うん!!やっぱコレだろ!!」 と言いながら、マサトはアイスを探し出し、ニッコリと例のリーゼントの男に笑いかける。 その笑顔が反則だッてくらい可愛くて、オレは目が離せない。 「…ふ〜ん」 「あッ、どうでもよさそーッ!」 「ちょっと、それ置いとけよ。オレ本見る」 と言って、例のリーゼントの男がオレのいる雑誌コーナーに向かって歩いてきた。 2人を見ていたオレは、男と目が合ってしまう。 ヤバイッ ヒョコ、と何読むの〜等と言いながら付いてきたマサトとも思わず目があってしまう。 ホントにヤバイって!! コイツが爆音の鮎川真里だと分かった今。 あの夜あんな事した俺はどうなってしまうのだろうか…と自分の命の儚さを思った…。 しかし、マサトの反応は予想外のものだった。 「…?」 自分の事を見ているオレをキョトンとして見つめ返してくる。 どうやら、オレのことを覚えていないようだ。 …確かに、アレは夜だったし、俺たちは3人だったし無理ないかも… と安堵と、しかしガッカリしたような気持ちになりながら、慌てて持っていた雑誌に目を戻す。 何事も無かったかのように。 しかし、かなり冷や汗をかきながら。 「な〜アッちゃん何読むの?」 オレのことを気にした風でもなく、二人はオレの後ろを通り過ぎる。 「…単車の本」 アッちゃんと呼ばれた男は、オレから3歩程離れた場所で雑誌を読み出す。 マサトはその「アッちゃん」の横から一生懸命のぞき込もうとしている。 うう…、やっぱり可愛いぜ。 オレはマジでこのマサトに恋してんのかも…。 あの事覚えてねえみたいだし、一から友達として接近できねえかなぁ〜。 普通に話とかしてみたいぜ。 などと思っていたのだが。 「!!」 ―――アッちゃんが冷たい目でオレを見ている。 ギクリ、とオレは飛び跳ねるくらいビックリした。 やや眉を顰めながら、横目で。 その目は、 (何だヨ?コイツになんか用なんかヨ…?) と言っている。 まるで、マサトのナイトのようなその仕草。 視線でオレにプレッシャーをかけてくる。 …ただ見てただけじゃねえかよッ 言いたくても迫力負けしていて言えないので、冷や汗をかきながらも、また雑誌に目を戻す。 本当はもう、かなり怖かったのでその場を離れたかったのだが、それもあからさま過ぎるので、 ドキドキしながら雑誌を読んでるフリを続ける…。 「なー、アッちゃん、どったの?」 「…ああ?」 「何か機嫌悪くねえ?」 「別に」 「も〜、オレのアイス半分やるから、機嫌直せよ?!」 カラカラと明るく笑いながら言うマサトに、アッちゃんはクスリ、と笑って 「だから、いらねーって」 等と、オレが羨ましく思うほど、仲が良いと思われるやりとりを繰り返している。 あーーックソ、羨ましいよ! オレはいたたまれなくなって、雑誌を元の場所に戻し、その場を離れるためにコンビニを出る。 ドアをくぐる時に、チラっともう一度2人の方をうかがうと、 アッちゃんの怖い目が (…だから何なんだよ?ああ?) と、またオレを見ていたので、慌ててそのコンビニを後にした。 ……ホント、怖えーよっ!! 何なの?! …アイツの目は防犯センサーか何かか?! ドキドキ高鳴る胸の動悸は恐怖か恋か…。 そんな感じでオレの恋は全く進展を許されなかった…。 ☆やった!!アッちゃんが何かカッコいい(そうか?笑) オリキャラみたいなのが頑張ってます。キモイですが…。 でも、この人、まるでチイの分身のような人です(笑) マー坊ラブなトコロが…。 でも、私はどちらかというと、可愛いマー坊より恐可愛いマー坊の方が好きですけどね。 (2003.10.1) 戻る |