キャンプ2













秋生は面白くなかった。

……バーベキューも美味かった。

……河原は涼しくて気持ちがいい。

……花火も結構好きだ。

皆から離れた場所で、少女達と楽しそうに花火に興じる爆音の面々を眺めた。

おもしろくねぇよ。

あの場所はオレの場所なのによー…

タバコを咥えながら、拗ねたように真里とその周りの少女を見る。









バーベキューを終え、「花火しよーッvv」と言う真里。

いつの間に用意してたんだ、と思いながら真里が用意した大量の花火を行なう事に。

ここまでは良かった。

凄い勢いで花火をしていた所に、5,6人の少女のグループがやってきたのだ。

「わー凄い、キレ―!!」

「見ててもいい?」

等と言いながら、断られるとは全く思っていない態度だ。

秋生は嫌な予感がした。

「一緒にやろーよ!」

ニッコリと満面のマサトスマイルを浮かべて少女達に言う真里。

その笑顔を見て、何人かの少女は「カワイイ〜vv」と思ったに違いない。

―――はぁ〜〜〜、

秋生は心の中で大きな大きな溜息をつく。

……無駄に愛想を振り撒くなっての!!

惚れられたらどうすんだ!!

自分がイヤなだけだろ、と秋生の心の声を聞く事ができる者なら突っ込んだに違いない。

「一杯あるぜ?!」

「やろう、やろう」

ミツオやカズがそう言って少女達を輪の中に入れてやる。

…オマエ等、余計なこと言ってんじゃねーべ!!

あんの上、少女達の一番人気は真里である。

真里の近くでキャピキャピと花が咲いている。

……だから、そこはオレの場所だっつーの!!

溜息をつきながら、しかし強引にその場所を確保するのも気が引ける。

フラリと皆から離れて真里とその周辺を見守る事にした(別名、監視とも…)。

その他の爆音の面々は、普段単車バカで女と交流が無いからか、見るからに楽しそうだ。

その様子をかなりしらけた目で見てしまう秋生だった。

さっきから、チラチラ秋生の方を窺っている少女もいるが、

ハッキリ言って秋生の眼中には無い。

それよりも何よりも、真里達の楽しそうな会話が気になる……。

こんな事なら、マー坊の真横を強引に陣取って、牽制すればよかった……。

オレって……(溜息)

秋生はどんより、と重い空気を漂わせていた。











そんな感じで、悶々としていた秋生。

「アッちゃ〜ん」

真里ののん気な声で我に返り、顔を上げる。

するとそこには、花火を持って秋生を覗き込んでいる真里。

「どったの?何か暗いぞ〜?!…ハイ!!」

ニッコリと笑って、花火を差し出す。

そして、秋生の横に腰掛ける。

「アッちゃん、火ィ〜」

タバコを吸わない真里は、ライターを持っていない。

秋生はライターを取り出して真里の持つ花火に火を点けてやる。

シュッっと点火する音がして、秋生の横で花火が弾ける。

秋生は花火の光で照らし出された、真里の横顔を眺めた。

……ハッキリ言って、かなり嬉しかった。

今までどんよりとしていた空気が、花が咲いたように軽々しくなる。

現金な自分に、ただ拗ねていた事に気付いて苦笑がもれる。

真里が自分の元に来てくれたのが凄く嬉しい。

先程とはうって変わってホクホクと良い気分になってくる。

「アッちゃん、早く。オレの火やるよ」

早くしないと終わっちゃう、と急かす。

「さっきさ〜、オレと喋ってた奴等さぁ、」

ん?何だ?!告られでもしたのか?!

秋生は緩んでいた顔をまた引き締める。

「アッちゃんの事、カッコいいって〜」

……はあ?

良かったね?と笑う真里。ずるずると体の力が抜ける。

「どーでもいーべ…」

本当にどうでも良かった。

だって、オレはオマエが好きだから。

「アッちゃんてさ〜…いつもそんな感じだよね?……変なの」

アイツ等あんなに嬉しそうなのにさ〜と爆音の面々と見比べてクスリ、と笑う。

特に何で?等と追求してこない真里。

それは秋生には都合が良かったが、すこし寂しい。

オレっていつも女にそっけねえか?

女に興味が無い訳じゃねえよ。









―――いつもオマエの事が好きだから。









皆が向こうではしゃいでいる。

オレはマー坊と2人きり。

それだけでオレはかなり幸せ。







「まッ、アッちゃんは単車が恋人だもんなー?!」

そう言って、屈託無く笑う真里。

ウンウン、…そういう事でいい。

本当は単車とオマエが好き。

でも今はそれでいい。









……案外と簡単に、秋生の気分は浮上した。

























☆しかし、リーゼントの男たちが遊んでるとこに声をかけてくる女なんているのだろうか(笑)
 マー坊と拓(でもリーゼント)以外は皆、コワモテだよ?!
 私なら混ざりたいとは絶対に思わない…(笑)
 肝の据わった娘さん達だ…。

 …それにしてもアッちゃんヘタレすぎ(笑)
 それに一番単車バカはアッちゃんのクセに…?と思います。

 でも、悶々としてるのがバレてなければ(普通にしてれば・笑)、男前なハズ!!
 アッちゃんの事カッコいいって言った女の子は、きっとチイが乗り移ってます(また?)


(2003.10.29)
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