深夜の誘い













雪が舞う、クリスマスイブ。

白い息を吐いてイルミネーションに彩られた街並をぬける。

深夜なので、さすがに人がいない。

煌びやかな電飾と閑散とした人通りのギャップが、ふと悲しい気持ちにさせる。

マサトはかじかむ手を上着のポケットに入れて、あるアパートを目指す。

目指すアパートの路地は、表通りの明るさとは逆に暗く静まり返っていた。

トントン、と階段を上り目的のドアの前に辿り着く。

――アイツいなかったらどうしよう。

駐輪場にアイツの単車があるかどうか、確認するのを忘れた。

何の前触れもなしにココに来てしまった自分に思わず苦笑する。

今日は秋生達と遊んで、帰り道、そのままの足でココに来た。

――いねーって、誰とドコ行くんだよ…?知らねー…。

オレはそれほどアイツの事を知ってる訳じゃないし。

もしかしたら、こんな日を一緒に過ごす様な女がいるのかも知れない。

……その時は、その時。……だろ?







開き直った心持でインターホンを鳴らす。

しばらく待つと、タバコを咥えた龍也が気だるそうに顔を出す。

「……オゥ」

龍也は少し以外そうな顔をしたが、チェーンを外してマサトを暗い玄関へと招き入れた。

明かりの点けられていない狭い玄関。

ただ、龍也が吐き出した紫煙が充満している。

「何しに来たよ……?」

暗闇にその眼光が浮かび上がる。

「……べつに…?」

マサトはその瞳を見返しながら、気のない返事をする。

――カチリ。

龍也はマサトの後ろの扉に手を伸ばし、鍵をかけ直す。

「アキオは?」

そのまま、ゆっくりとマサトを扉に押しつけて体を密着させる。

「別に…カンケー…ねェ…よ?」

お互いの息遣いを直接に感じる近距離で。

マサトは龍也を見上げて軽く唇を吊り上げて笑う。

さっきまで、一緒にいたよ。だけど、それが…何?

今オレは、こうしてオマエの前にいる。





お互い本当は言ってる言葉なんてどうでも良かった。

ただ、その体に触れたくて。

「今日って、何の日か…知ってンのかよ…?」

とりあえず、マサトはそんな事を聞いてみる。

「1人で、家にいンの…?」

相変わらずからかうように言う。

龍也はその言葉尻を奪うかのように、その唇を塞いだ。

軽く、嬲る様に。

ニヤリと笑って告げる。

「知ってんぜ…?」

そう言って、もう一度唇に触れる。

「…ん…」

マサトは目を閉じて龍也にされるまま、その感覚を追う。

生き物のように蠢く熱い舌の動きを目を閉じて感じる。

「そんな日に、何で俺んトコ来んだ、オメーはよ…?」

人の悪い笑みを浮かべながら問う龍也に、

「……いーだろ…?」

マサトは龍也を見つめ返して不敵に笑った。

そんなの、決まってんだろ。

オマエとこーゆうコトしたかったから。

……イイだろ…?





火が付いたように激しく互いの唇を貪る。

互いの吐息と喘ぎ、唇から漏れる湿った音が狭い玄関に充満する。

龍也は、マサトを扉に押しつけたまま、その頭を引き寄せる。

マサトも応えるように上向いて、龍也を受け入れる。

「…ン、リューヤ…ァ、」

「あァ…?」

「さみぃー…よ」

いつまでここでヤんだよ…?…早く中に入れてくれよ。

「オレ、ここまで歩きで来たんだぜ…?」

龍也が触れたトコは熱を帯びた様に熱いけど。

それに反して。

もー、体は冷え切ってんだよ…?

上着のポケットに入れたままの両手も、実は冷たい。

「…早く、あったまりてぇんだよ…?」





「来いよ。」

ニヤリと笑って、龍也はマサトを奥へと招き入れた。































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龍也が「アキオは?」って聞くのは、やはり秋→マーでその事知ってるからです。
アッちゃんは、マー坊を帰したく無かったのではないかと思います。
さらに、実はマー坊こんなトコに来てるし…!!って。
いやあ〜クリスマスだし…って別に全然クリスマスっぽくもない話です(笑)
例のシリーズの龍マーとは別世界でお願いします。
龍也は1人暮らしかな…。ワンルームマンションで。でもアパートという響きが好き。
でも〜高校生にそんなもん与えて…悪い事し放題だよ!(笑)

でー…龍也に温めてもらいなさい、なマー坊(笑)
はー…ヤマもオチもイミも無い話を書いてしまった…←いつもの事だ!
時間としては6代目爆音くらいで。…って事はマー坊中坊ですよ…?
中坊にして誘い受け。それも普通に自身満々だ…(笑)

色々とお世話になった染井さんへ捧げますvv(第3弾)


(2003.12.23)
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