キャンプ
「皆で遊び行きたい!!」 全ては真里のその言葉から始まった。 夏休みであり、何かしら遊んどかないと…という心境らしい。 「…キャンプとか…」 こうして、河原にてキャンプを行なう事に決定したのであった。 爆音を轟かせ、さらにキャンプの荷物を装備して疾走する単車の群れ。 キャンプの荷物を無理やり単車に分担して、目的地へ向かう姿は、 いつもより多めに人目を引いていたが。 しかし、人から視線を集めるのが好きな彼等は 「オレら目立ってる?!」 と持ち前の「目立ったモン勝ち」の原理を発揮して、好奇の視線を快感に変えていた。 「拓ちゃ〜ん、アッチ行って遊ぼvv」 目的の河原にて、テントやバーベキューの準備が一段楽したのを確認し、真里が告げる。 「う、うん」 (ここって危なく無いのかな……?) 川の中に入って遊ぼうと言う真里の言葉に、一応、視線で秋生にお伺いを立てる拓。 秋生はその拓の視線に気付いて、苦笑いしながら、言ってこいよ、と表情で告げた。 「俺らは一服しとくわ」 カズが言うと、秋生もウンウン、と頷いている。 「も〜、オッサン臭いなー!」 真里はせっかく来たのにダラけている秋生達を見て笑う。 その笑顔を見ると、一緒に遊ぼうかな〜という気にもなるのだが。 「オレも行こうかな〜」 珍しくミツオが参加しようとする。 「あ、ダメ!」 「へッ?」 「あ〜、ダメじゃなくてェ……オレらから離れたトコで遊んどけ?」 「何で?ヒデェべ!オレと一緒ってそんなに嫌なわけ?!」 「???」 真里とミツオのやり取りに皆が首を傾げる。 「オレ思ったんだけど〜、オレがよく女に間違われんのってぇ、 オマエらみたいなゴッツイのと一緒にいるからじゃねえんかなー?」 いきなり何を言い出すのかと思いきや。 「だから〜、見るからに男っぽいオマエらといるから、 そのギャップでオレが女っぽく見えるんじゃねェ?!」 「……」 納得できるようなできないような。 まあ、真里が女に間違えられるのはよくあることだ。 そして、それを本人は凄く嫌がっている。 (でも実際は本当に間違っているのではなく、からかい半分が大半だが) このキャンプ地にはナンパ目的の男グループもチラホラといたので、 始めから間違えられないように、真里流の防止策であるらしかった。 (秋生的には間違っててもそうでなくても、声かけてくんのは一緒じゃねえ?と思うのだが…) 「……でもよ〜、拓と2人だったら、かわいーとか言って、 むしろ女グループに逆ナンされるかもしれねーべ?」 ミツオはブーたれる。 「別にそれはいいじゃん!!」 むしろ、いいって!とはしゃぐ真里。 (オレはそれも嫌だ!!) 秋生だけは心の中で叫んでいた。 (……むしろその方が嫌かも…男だったら殴られて終わりだけど、女ならあるいは… 恋が始まったらどうすりゃいいんだ…そもそも、逆ナンされたいのか、マー坊……?) 等と悶々と1人考え込んでしまった秋生。 「じゃッ行ってくる!!」 秋生の様子には全く気付く事無く、屈託無く笑って拓と行ってしまう。 「!!」 (どうしようか、ついていこうか、でも来んなって言われそうだし…) と、立ち上がったものの、その場から動けない秋生。 そんな秋生にリョーが気付いて楽しそうにニヤリと笑う。 「あ〜?何よ、アッちゃん。アッちゃんももちろんイカツイ系だからダメだべ?!」 ……リョーの無邪気な言葉がちょっとムカツク……。 そう思ったものの、溜息をついて、また椅子に腰を降ろす秋生。 真里の後ろ姿を見守りながら、煙草を吹かす姿は哀愁が漂っていた……。 「まー、ミツも気を落とすなって!俺が一緒に遊んでやんべ〜!!」 そう言って、置いてけぼりにされて、ガックリしていたミツオの肩を叩く。 そして、強引にバシャバシャと音を立てて川に入って行った。 リョ―……、以外と面倒見が良かった。(?!) 「あー…、アッちゃん、元気だせよ?」 「そうそう、マー坊くんガキだから恋愛なんてできねえって」 取り残されたジュンジとカズは仕方なく、秋生を慰める。 「は〜〜〜…」 秋生は大きな溜息をついて、真里の消えた方向を(しつこく)見守っていたそうな。 そろそろ、バーベキューを始めようかという夕暮れ時になって。 残ったメンバーは炭を鋳こし、準備万端で待っていた。 リョ―とミツオも帰って来て、全ての仕度が整い、後は具を焼くのみだ。 「腹減った…」 「先に肉焼いちまうぞーッ」 早く真里と拓が帰ってこないかと、皆、腹をすかせて待っていた。 そこへ、ようやく問題の2人が帰ってくる。 何故か真里は仏頂面である。 「マー坊、どうした?」 もちろん、聞くのは秋生。 「別に〜〜」 とそっぽを向く真里。 別にじゃねーだろ、と皆は思ったがあえて聞かない。 その代わり、拓に視線を送って促す。 5人の視線に促される拓。 「…えっと、それがね…」 そう言って拓が語った話。 今日は女に間違えられてのナンパは無いだろ、と思っていのだが。 何故だかひっきりなしにナンパされる真里。 いい加減キレそうになる真里を宥めるのに苦労した拓であった。 拓が考えるに、いつもより余計にナンパされたのは、 一緒にいるのが拓だったからではないか。 普段はゴツイ男たちと一緒にいる真里なので、声がかけ難い。 その点、拓だと「そんな奴ほっといて俺等と遊ぼうぜ」となる訳である。 真里流ナンパ対策は裏目に出てしまった。 (ミツオ君連れてきたほうがよかったかも…) 拓は何度もそう思ったのであった。 更に今日の真里の格好というのが、黒のプリントTシャツにベージュの膝丈のカーゴパンツで、 キラキラと輝く金髪と栄えて凄く可愛らしかった。 やっぱり、学ランじゃないと、より可愛く見えるよな…。 別に女っぽくは全然無いんだけど…。 ちなみに逆ナンは無かったという。←秋生だけは満足そうであった…。 「そっか、そっか、」 「ふ〜ん、それでマー坊君機嫌悪りーんだべ?!」 「べ・つ・にー!腹減った!肉焼こーよ!!」 「あ、そうだ。もう腹ペコペコなんだよ〜」 そう言って、思い出したようにバーベキューに取りかかる一行。 しかし秋生だけはニヤニヤと満足そうな笑みを浮かべていた。 (や〜ぱ、俺がマー坊の横には居てやんねえとな!!) 改めて、自らの牽制力を自覚して嬉しくなっている秋生なのであった。 (オレが横に居る時は間違ってもナンパなんてさせねえべ?!) 自信満々でそう誓うのであった。 1人心の中で。(…寂) ☆ナンパネタ。…というかキャンプネタの筈が(笑) 男と一緒にいるのに声をかけられるのは、よっぽどその男が低低(笑)な場合…? むしろ、絡まれてんじゃねェの(笑) マー坊って女には間違えられるけど、色気は無さそうだよネ…。 ボーイッシュに可愛いと言うか。 その辺が千冬や来栖とは違う感じ…(笑) ↑別に特に萌えは無いんですけど…キレイ系キャラの彼等。 毒フェロモン出してそうな感じがする… あ〜、また変なアッちゃんだ〜!! そしてアホだ〜!!(笑) (2003.10.29) 戻る →2へ |